空を舞う花びらはキミに似て ――――― 。
「 ・・・・・・ 二人きりのときは、昔通り エリィでいいわ。」
キミは言う。
誰にでも分け隔てなく向けるその聖母の笑みで。
俺が今ここにいるのは、聖母ソフィア像を描く為だ。
キミは人々のソフィア(希望)。
もう昔のエリィじゃない。
そんなことを考えて
俺に向けるその笑みにいたたまれなくなって
君を描き続けることがつらくなって
絵が完成してしまう事が怖くなって ―――――
「一週間ほど自宅に帰ろうと思うんだ。
絵の具が切れかけてるから。新しいのを作ってこないといけない。」
俺は逃げ出した。
そして
戦火は広がり 君までも 戦場に借り出され
絵は完成することなく
俺は ―――――
あぁ エリィ
キミを守る事も出来ずに
キミの最期の言葉さえも
「 生 き て 」
取り違えて ―――――
ニサン軍の母艦が敵と共に爆風に飲み込まれていくのを
そこから その白い破片が 飛び散るのを
まるで花びらが舞うみたいだと思いながら
ただ
ただ呆然と 見つめていた ――――― 。
「ねぇ、フェイ。お願いがあるんだけど。
私の絵を描いて。
落ち着いたらでいいから。」
「エリィ?」
「シタン先生から聞いたんだけど、フェイ、ラハンにいた頃、絵を描いていたんでしょ?
絵描きになりたかったって。」
「もう随分昔の事のみたいな気がするなぁ。」
「いろいろあったからね。
・・・・・ね? 落ち着いたらでいいから。」
「そうだな。」
「今度はちゃんと完成させてよ?」
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