自分が伸ばした腕に頭を乗せ、しかしこちらに背を向けて、その人は眠っている。
彼女の後ろ髪が自分の肩や胸に当たるのはあまり気にならなくなった。心地よいと思う。。
隣で静かな寝息をたて眠るその人が、決して熟睡していないという事は、
こんな関係になった最初の夜から気が付いていた。

浅い、 浅い眠り。 腕から伝わる、彼女の体温。
少しでも体を動かせば、相手が目を開ける気配も伝わってくる。

自分に気を許していないとか警戒しているとか、決してそうゆう事ではないとわかっている。
彼女の職務内容や立場、今まで身を置いていた現状、時間。
そういったものが、そうさせているのだと。
理解しているのに、そんな彼女に不満を感じるのは何故か。
一度手に入れたら、人はその次も欲しくなる。全て。彼女の眠りも。安心できる場所も。
それは自分でありたいと。
いつまで経ってもそうならない苛立ちが自分を支配し、彼女への不満となって込み上げる。
こんな気持ちは気が付かずにいた方が良かったと思う。
こんな事を考えている自分にも嫌気が差す。
だが自分といる時くらいは・・・。





体  温



「どうしたんだい?」
突然、体を半分起こし頭だけを持ち上げてネルがこちらを見る。
「あ?」
今考えていた事を悟られたく無く、目を逸らして返事をする。
すると今度は体ごとこちらを向いて、顔を覗き込んでくる。
「アンタって、どうして眠らないんだい?」
どうしてと言われても、返答に困る。黙っていると、
「アタシと一緒じゃ眠れないんだね。」
と沈んだ声で呟く。
それがなんだか酷く寂しそうな声に聞こえて、俺も慌てて体を半分起こす。
「違う。」
「違わない。アンタは赤ちゃんなんだよ。」
「はぁ?」
彼女は人差し指の先をコチラに向け、続けて言った。
「知ってるかい? 赤ん坊は自分で上手に眠れないから、あぁやって夜泣きするんだよ。
 アンタも一緒だ。」
その人差し指で俺の鼻先を小突く。
「阿呆。テメェが安心して眠れるように見張っててやってるんじゃねぇか。」
「見張るって・・・何を? 」
ネルはクッと小さく笑い、それから白く細い腕を伸ばして俺の肩と首とにまわしてきた。
そして自分の胸元に引き込む。
「しようがないねぇ。だったらこうしていてあげるよ。眠れるまで。」



彼女の香りと体温とが息苦しいくらいに伝わってきて、照れくさくなり俺はもがいたが、
ネルは離そうとはしなかった。 俺は諦めて目を閉じた。



きっと、ここが この時間が 一番の安らぎになるまで そう時間はかからないだろう。
俺にとっても。

そんな事を確信しながら、彼女より先に眠りに落ちていった。




おわり。

自分の方こそ眠ってないじゃん、ていう・・・・・。

文章書くようになって、思い知らされたのは、自分の語彙の少なさ!!! 少なすぎる。
言葉が出てこないんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・。 (国語、得意だったはずなのに。小論とかさ・・・涙。